すやすや生活日記

専業主婦が日々を記録するブログ

【斎藤幸平 著】人新世の「資本論」<1>目を背けがちな環境問題

 

斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』

50万部突破のベストセラー。

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本の内容をざっくりまとめると・・・

資本主義は環境負荷を高め続け、人工的希少性によって多くの人々を困窮させる。

だから、そんなシステムはやめて「脱成長コミュニズム」に置き換えよう!

といった感じ。

 

マルクスの著書の引用や、専門用語も出てくるので、私のようなただの主婦には難しい内容であった。

でも、資本主義に乗っかりぼーっと生きてる主婦にとって、新たな気づきを与えてくれた一冊だったと思う。

 

私は読んだ本の内容をすぐ忘れてしまうので、備忘録と感想を残したい。

 

帝国的生活様式が引き起こす環境問題について

 

SDGsは大衆のアヘンである!

これは、本の冒頭に出てくる衝撃ワードである。

レジ袋削減だとか、マイボトルを持ち歩くだとか、エコカーに乗り換えるとか、そんな些細なことをしていても地球温暖化問題は一向に改善しない。

それどころか、個人の"対策している感"を満たし、大衆が本質的な問題から目をそらす結果になってしまうという意味だ。

 

環境問題の深刻さ

夏の暑さに地球温暖化を肌で感じる昨今。

原因は二酸化炭素だと言われているけれども、現在のペースを続ければ地球の気温は2030年には1.5℃上昇、2100年には4℃上昇するらしい。

するとどうなるか・・・?

  • 永久凍土が融解し、水銀が流出。炭疽菌のような細菌やウイルスが解き放たれる
  • 2℃の上昇でもサンゴは死滅、漁業に被害
  • 夏の熱波で農作物の収穫に大きな影響
  • 台風の巨大化、豪雨被害の増加
  • 海面上昇により土地が冠水。世界で億単位の人が現在の居住地から移住を余儀なくされる

えらいこっちゃ。

地球温暖化を食い止める目標として、2100年までの平均気温上昇を産業革命前の気温と比較して1.5℃未満に抑え込むことを科学者は求めているそうだ。

そのために、2030年までに二酸化炭素排出量をほぼ半減させ、2050年までに純排出量をゼロにしなくてはいけない。

現状のままなら無理なのは明確。

 

グローバル・サウスからの搾取

グローバル・サウスとは、グローバル化によって被害を受ける領域ならびにその住民のこと。(以前は「南北問題」と言われていたのだけれど、今は地理的位置と関係が無くなってきている。)

 

例えば・・・

ファストファッションの洋服を作っているのは劣悪な環境で働くバングラディシュの人々。2013年に縫製工場が入った商業ビルが崩壊し、1000人以上の命が犠牲になった。事故の前日に従業員たちは壁や柱の異常に気付いていたのに、その声は無視された。

 

服の原料である綿花を製造しているのは、インドの貧しい農民。彼らは巨大企業が作る遺伝子組み換え品種の種子、化学肥料、除草剤を買わされ、不作の年は借金を抱えることになる。除草剤が身体や自然に有害だと分かっていても、生産は続行される。

 

2019年、資源三大メジャーのヴァーレ社が持つ鉄鉱石の尾鉱(選鉱の際に生じるスライム状の廃棄物)のダムが決壊し250人以上が死亡。同様の事故は2015年にも起きており危険は分かっていたのに、労働者は採掘を強制されていた。

 

このように、資源、エネルギー、食糧、自然、ありとあらゆるものを、先進国はグローバル・サウスから搾取している。こうした先進国のライフスタイルを「帝国的生活様式」と呼ぶ。

私たちの先進国的な暮らしは、グローバル・サウスの代償なしには維持できない。これが資本主義の平常運転なのである。

 

このような問題は、昔から何度も指摘されてきたのにもかかわらず、私たちはすぐ忘れてしまう。

それは、この状況は日常において不可視化されているから。

代償を遠くの地域に転嫁して、不可視化することが先進国の豊かさには不可欠である。これを「外部化社会」と呼ぶ。

外部化社会は、常に外部を作り、そこに負担を転嫁してきた。私たちの社会はそうして繫栄してきたのである。

 

しかし・・・

今現在、グローバルサウスも経済成長してきて、「安価な労働力」は消滅しつつあり、採取を行うための「安価な自然」も無くなりつつある。

資本は無限の価値増殖を目指すが、地球は有限。


さらに、気候変動というかたちで、先進国でも危機が可視化されている。

例えば・・・

  • 魚介類や水にマイクロプラスチックが交じり、私たちは毎週クレジットカード1枚分のプラスチックを食べている
  • 熱波、巨大台風
  • 気候変動により農作物の不作に苦しむ難民が、ヨーロッパやアメリカに押し寄せる

 

富裕層が排出する大量の二酸化炭素

世界の富裕層のトップ10%が二酸化炭素の半分を排出しているというデータもある。

下から50%の人は、全体のわずか10%しか二酸化炭素を排出していない。にもかかわらず、気候変動の影響に最初にさらされる。

富裕層トップ10%の排出量を平均的なヨーロッパ人の排出レベルに減らすだけでも、3分の1程度の二酸化炭素排出量を減らせるという。


そして、先進国の人々はそのほとんどがトップ20%に入っている。日本人なら大勢がトップ10%に入っている
私たち自身が、当事者として帝国的生活様式を抜本的に変えていかなければ気候危機に立ち向かうことなど不可能なのである。

 

説教臭くなったけれど、

今回はここまでにして、

次回は、温暖化対策に技術だけで立ち向かうのは無理なのか?ということについて書こうと思う。

 

~続く~

 

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