すやすや生活日記

専業主婦が日々を記録するブログ

食用油、どれ買えばいい?【食用油の知識】~2~

 

前回のブログに引き続き、食用油についてまとめていきたいと思う。

 

popololo-nyanya.hatenablog.com

 

オリーブオイルが健康に良いのは本当か?

オリーブオイルは健康良いイメージがないだろうか?

これは、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸が血中のLDLコレステロールを減らすという情報がもとになっている*⁵*⁶。

LDLコレステロールはいわゆる悪玉コレステロールと呼ばれ、これが過剰になると酸化されて動脈の内膜に入り込み、動脈硬化を促進する。動脈硬化は心疾患、脳血管疾患の原因となる*⁶。

というわけで、オレイン酸が多く含まれるオリーブオイルはそれらの病気の予防に良いというわけだ。

 

しかし一方で、オリーブオイルには発癌促進作用があると主張する学者もいる。

ラットにおける実験で、エゴマ油を混ぜたエサを食べたグループに比べ、オリーブオイルを混ぜたエサを食べたグループの発癌率は4倍だったというのだ*¹。

また、オリーブオイルはLDLコレステロール値を下げないという説*²や、狭心症心筋梗塞などの冠動脈疾患とLDLコレステロールの関連性は薄いという説もある*⁴。

 

発癌率の話はあくまでも動物実験の結果であり、ヒトに対しては分からないので過度に心配しなくても良いと思うが、健康イメージにつられてオリーブオイルを摂取しすぎるのも良くないと思った。

 

キャノーラ油の有害性

従来使われてきた菜種油には、心臓毒になるエルカ酸と、甲状腺毒となる硫黄化合物が含まれていた。それらの含有量が低くなるよう改良した品種がキャノーラである。

オリーブオイルと同じくオレイン酸を豊富に含み、健康的なイメージもあるが、脳卒中促進作用があるとする説もある*¹。

また、油料理の多い中国の食堂の主婦に肺腺癌が多く、大豆油を使っている家より菜種油を使っている家の方が発癌率が高く、菜種油の揮発成分に変異原性が認められるという研究もある*¹。ただし、日本の菜種油(キャノーラ油)は精製されており、問題はないとの主張もある。

 

これは個人的感想だが、昔、揚げ物をする時の油をこめ油から日清のヘルシーオフ(キャノーラ油と大豆油の混合油)に変えたところ、調理中に喉がイガイガするようになったので、再びこめ油に戻したということがあった。書籍に書いてあった有害揮発成分が原因かどうかは分からないが、我が家は今後キャノーラ油を揚げ物に使うことはないだろう。

 

コレステロール値が高い方が長生き?

コレステロール値が高いのは身体に良いor悪い」という問題について、2010年、日本脂質栄養学会 VS 日本動脈硬化学会で論争勃発*²。

きっかけは、日本脂質栄養学会が発表した「長寿のためのコレステロールガイドライン」における「コレステロールが高い方が長生き」という説に日本動脈硬化学会が異議を唱えたことだった。

これに対し日本脂質栄養学会は公開質問書を出し、「日本動脈硬化学会のガイドラインは仮説に合わない論文を除外している」と指摘した。

その後、2013年に米国の心臓病関連学会であるACC/AHAのガイドラインで、「コレステロール摂取量については、LDLの低下との関連を示すエビデンスは不十分であるため、食事中のコレステロール摂取制限を設けない」という見解が示されたことで、日本脂質栄養学会は「総コレステロール値あるいはLDL値が高いと日本では総死亡率が低下する」という説を声高に主張。

日本動脈硬化学会はこれに対し、健常者については賛同するものの、高LDL患者には当てはまらず、食事療法や生活改善を確認したうえで効果がない場合には薬物療法に入るかどうか決めるべきだと主張した。

厚労省が出した2015年の日本人の食事摂取基準では、コレステロール摂取制限も撤廃された。

この論争はまだ続いているようなので、今後も注目していきたい。

 

溶剤抽出のトランス脂肪酸

食用油を製造する際、原料から油を抽出する方法には溶剤抽出と圧搾がある。

スーパーで売っている安い食用油は大体が溶剤抽出だ。

溶剤抽出に使うのはノルマルヘキサンという有機溶剤。毒性があるが、加熱によって揮発させるため最終的に精製される油には残っていない。

しかし、この加熱工程でトランス脂肪酸が生成されるという。

トランス脂肪酸は過剰に摂取すると心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加すると言われており、WHOは加工食品を製造するときにできるトランス脂肪酸を減らすよう各国に呼びかけている。

 

溶剤を使わず圧搾で製造された食用油を使うに越したことは無いが、この製法でつくられた油は値段が高い…

実は、溶剤抽出であっても温度を上げすぎないように精製するので、通常は問題となるほどのトランス脂肪酸は含まれていないという説もある*¹。

WHOではトランス脂肪酸の摂取を総エネルギー比1%未満に抑えるよう提示しているが、食品安全委員会が2006年に行った調査では、日本国民一人一日当たりトランス脂肪酸摂取量は平均0.7g(摂取エネルギー換算0.3%)だった。

サラダ油のトランス脂肪酸含有量が1.2g/100gなので、大さじ1杯(14g)のサラダ油に含まれるトランス脂肪酸は0.168g

参照:「日清オイリオ 油に関するQ&A」(https://www.nisshin-oillio.com/oil/qa/qa08_7.html)

 

食用油に含まれるトランス脂肪酸はそんなに多くないので、抽出方法についてはあまり神経質にならなくても良いのかもしれない。

 

まとめ

本を何冊か読んだけど、正直、どの食用油を買えば正解なのかよく分からなかった。

とりあえず、特定の油を過信せず、様々な油を少しずつ摂取することでリスクを分散するのが良いのかもと思った。

夫婦そろって揚げ物が好きなので、飽和脂肪酸やn-6系不飽和脂肪酸の摂取過多に気を付けて、魚介類の食事を増やし、n-3系不飽和脂肪酸を摂取することを心掛けようと思う。エゴマ油はとりあえず食事に取り入れてみたけど、続けるかは分からない。

 

また、健康に関する書籍というのは、著者の持論に有利な論文だけを紹介したり、著者のバックに団体や企業がついており、そこへの利益誘導を目的としていたりすることがあるので注意が必要だと思っている。

本来なら、書籍に載っている主張の根拠となる論文の原本を見に行って、エビデンスレベル等を確認した方がいいのだろうけれど、そこまでする気力はなかった。

今回借りてきた本は出版年月日が古いものもあり、情報が刷新されている可能性はある。

今後も食用油に関する情報を集めて、知識を刷新していきたい。

 

 

【参考書籍】

*1 油の正しい選び方・摂り方 最新 油脂と健康の科学 奥山治美 國枝英子 市川祐子 2008年9月30日 第1刷発行

*2 油はすごい 人気管理栄養士が教える、体を守る油のとり方 足立香代子 2016年3月20日発行

*3 基礎栄養学 第5版 坂井堅太郎 編 2021年2月10日発行

*4 肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群Ⅱ 清水泰行2021年11月30日発行

*5 Newton別冊 専門家が教える正しい知識と理想の食生活 食と栄養の大百科 増補第2版 2021年8月5日発行

*6 Newton 別冊 食材から調味料、安全性まで、毎日の食事に役立つ知識が満載 科学的に正しい食品の大百科 改訂第2版 2022年10月5日発行