この前、年始に実家に帰省した時のこと。
60代後半の父は、一日中テレビでYouTubeを見ている。
見ている動画を観察してみたら、以下だった。
特に見る頻度が多かったのは、大谷翔平と日本を賛美するホルホル動画だ。
ホルホルとは…
(主に国家・民族的な話題で)恥ずかしげもなく誇らしげに自画自賛をしている姿を揶揄するネットスラング。
元ネタはNAVER ENJOY Koreaで、韓国人がハングルで書いた笑い声の機械翻訳。
主に日韓罵倒合戦場として使われていた同掲示板で、韓国人が日本叩きや
ウリナラマンセーをする際に見られた。(他に「キルキル」「カルカル」「ゲルゲル」などもある)
本人たちは誇らしげに書いているが、機械翻訳特有の珍妙さがウケて、
朝鮮人が得意気になっている、図に乗っている様子を表す言葉として、2002年頃には嫌韓系の韓国ネタ語として定着した。
こういうホルホル動画を見て気持ち良くなる理論は以下。
大谷翔平すごい ⇒ 日本人すごい ⇒ 俺すごい
日本人が褒められることで、間接的に自分が褒められているような気持ちになるのだ。
日本人は外国人(特に白人)から褒められるのが好きだ。
それは他者評価を気にする国民性と、欧米人への劣等感が根底にあるのだろう。
父は小学校の校長をしていた人だ。「先生」と呼ばれ、敬意を払われることが当たり前の環境で長年過ごしてきただろう。
定年退職後、誰からも賞賛されたりゴマをすられたりしないと、自尊心を見失ってしまうのではないだろうか。
「私は存在するだけで価値がある」という自己受容の精神は、集団主義的な教育が根強かった父の世代には無さそう。
自分の存在価値に他者評価が必須なのだ。
そこでホルホル動画を見て、自分が褒められた気になって、気持ちよくなることで精神を保っているのだとすれば…仕方のないことなのだろうなあと思う。
誰も不幸になってないから良いっちゃ良いのだが。
私は外国人がわざとらしく日本人を褒める動画を見ると、嬉しさより恥ずかしさが先行する。
今回の帰省で、外国人が日本を褒めることを主体とした動画の再生数を伸ばしているのは、自尊心を失いかけている人たちなのかもしれないという考察を得た。
そして、最近、実家の右傾化が進んでいる。
両親は基本的にテレビ局が嫌いで、私がTBSの報道番組でとりあげていた日銀の金利と円安の話をしたら、母に「TBSは左翼寄りだから信じるな」と言われた。
さらに、実家では朝NHKを見るのが習慣になっているのだが、最近では父が「NHKは左翼寄りだ」と番組を見ながらよく文句を言うらしい。
そんな感じで、テレビをあまり見なくなったそうだ。
今話題の自民党の裏金問題の話をふると、両親はまず初めに「安倍元首相は悪くない」と話を切り出してきた。安倍氏は裏金に反対していた(?)らしい。もちろん応援している政治家は高市早苗。
さらに父は最近、クリスマスなど欧米が発祥のイベントを嫌悪し、キムチは「朝鮮漬け」と言って食べなくなったそうだ。
ここまでいくともう、政治思想が強すぎて、実家がしんどい。
テレビを離れた両親は、ネットのフィルターバブルで右傾化が進んでいる。
一日中YouTubeを見ている父の運動不足と認知症も心配だ。
ちなみに、今回話に出しても両親に怪訝な顔をされなかったテレビ局が"テレ東"である。
なぜなら実家は田舎でテレ東が映らず、両親は評価のしようがないからだ。一応民放各局の番組はYouTubeで見れるが、まだ存在に気づいていないっぽい。
私はこれから政治経済の話題を出す時「テレ東で見た」と言うことにしようと思っている。